FRUITS TIME

肉片

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しきたりのように真面目なものを自分のなかで探したかった  そういうのはわたしにとって日記、生きていることは日記を書いていくこと、細ながいグラスに注げば炭酸の泡は全部消える いらいらしていたことも帰り道雨を浴びていたら消えてしまった

 

睫毛の先が熱くなりすぎることがある  顔がどろどろに溶けて枕に垂れる夢をみる  好きな男より大切なものがない   女の言うことしか信用できない  それでも生きていくことは日記を書くことなんだった  誰かに読まれても読まれなくてもいい日記  どこも直すところがない完璧な、ほかの言葉に代えられないきれいな日記をいつも思い浮かべる  幽霊も天使もここにいるね  顔が枕に溶けてもちゃんと生きてればいい日記を読める  誰にもみえない刺青が自分の一番好きなからだの一部になればいいな  それはひとつも直すことのできない完璧な日記のひとつだ